本当にただの備忘録

気が付いたことを書き留めておきます。モタリケ。

β2-ミクログロブリンについて

β2-ミクログロブリンは、HLA鎖Ⅰ型抗原のL鎖として免疫応答に重要な役割を果たす蛋白である。

動態

β2-ミクログロブリンは、赤血球を除く全身の有核細胞表面に広く分布し、特にリンパ球、単球には豊富に存在する。これらの細胞表面から分泌されると、腎糸球体で濾過された後、約95%以上が近位尿細管から再吸収、異化を受ける。

評価

検査では、血清β2-ミクログロブリンと尿中β2-ミクログロブリンが用いられる。

血清β2-ミクログロブリン

血中濃度を評価する際には、産生側の要因と異化(腎機能、GFR)の要因を総合的に評価しなければならない。
産生の増加は、腫瘍や炎症性疾患によりβ2-ミクログロブリンを表現している細胞が増加する、もしくは細胞あたりのβ2-ミクログロブリン表現が増加することにより起こる。代表的な疾患には、多発性骨髄腫、リンパ性白血病、リンパ腫があり、自己免疫疾患や炎症性疾患でもサイトカインの働きなどによりβ2-ミクログロブリンの産生が増加することがある。
血中濃度はGFRとよく相関し、GFRの低下により血清β2-ミクログロブリンは増加する。また長期の血液透析患者では、透析により除去できなかったβ2-ミクログロブリンの沈着により透析アミロイドーシスを起こすことがあり、定期的に血液中のβ2-ミクログロブリンを測定する必要がある。

尿中β2-ミクログロブリン

尿中濃度の評価する際には、血中濃度の増加の有無と尿細管再吸収能を総合的に評価しなければならない。
血中濃度を増加させる病態があり尿細管再吸収能を上回る量が糸球体を通過すれば、尿中β2-ミクログロブリン濃度は増加する。
腎尿細管障害(近位尿細管)の障害により尿細管再吸収能が低下すると、尿中β2-ミクログロブリンは増加する。
ただし、β2-ミクログロブリンは酸性尿で変性するためα1-ミクログロブリンやNAGを参照する必要がある。


多発性骨髄腫において、血中β2-ミクログロブリンアルブミンとともに病期分類にも用いられており高値であるほど予後不良である。(アルブミンは低値であるほど)尿中β2-ミクログロブリンについては、血中濃度の増加、腎障害などにより高値となるはずであるが、変動する要素が多く臨床的意義は少ないと考えられる。
ちなみに、多発性骨髄腫の尿検査としては尿蛋白(Bence-Jones蛋白)を測定する。Bence-Jones型が疑われる場合には、尿を検体に用いて免疫電気泳動を行う。